ヒルズ 挑戦する都市

六本木と言われて思い浮かべるのは六本木ヒルズくらい、その地域のランドマークとなっている森ビルの森稔氏について書かれた本。

六本木ヒルズで働いていたときは、迷路のようなその構造で一年働いたときも全体を理解してなかったし、こんな場所があるんだ!という発見もあった。働いてるときは、なんだか分かりにくいなと思っていたけども、いざ転職してほかのビルで勤務すると、なんとも素っ気ないものに感じる。

それものそのはず、森稔氏はル・コルビュジエの思想に影響をうけて衣・食・住・文化を一まとめとした職住近接型の総合的な都市を作ろうとしているからである。ただ、オフィス棟がある鉛筆のようなビルを建てておしまいではない。街をつくるというのは、ただならぬエネルギーを必要とする。

どこかの軍用地など大規模な土地が払い下げがあったわけでなく、小さな民家が集まった土地の地権者ひとりひとりと対話して、地域の人いっしょに街づくりをしようとした森氏には多くの困難と時間を必要とした。それでも諦めなかったのは森氏の確固たるとした理念があったからだろう。

森ビルは今でこそ大企業かもしれないが、三井・住友・三菱のような財閥系の不動産ディベロッパーとは違い、終戦後に始まった弱小不動産屋の一つに過ぎなかったが、人と同じことをしていても差別化できないので、コストダウンや、先進的なオフィス環境を提供してのし上がった。さらに困難な大規模再開発にも事業を拡大し、アークヒルズ・六本木ヒルズといった成功例を作った。

ほんとうに読んでいて、ベンチャーマインドというかスタートアップのような熱量を感じたし感化された。もし、自分が起業することがあれば、将来、絶対森ビルにオフィスを構えたいと思うようになった。