銀行員はどう生きるか

米銀の現状から邦銀の未来を探る

サブタイトルの米銀の現状ってのが気になって購入。米国は2008年のリーマン・ショックの震源地であり、金融機関は顧客本位のサービスのためにITを導入したわけだが、対して日本はコストダウン・業務量削減であり、顧客の視点に立ってない。

米国の銀行もデジタル端末を用いて顧客の処理を簡便化してるが、日本との大きな違いは、支店長がまるでフロアマネージャーのように振る舞い、店内で顧客を誘導・サポートしたりするという。住宅ローンの申請など込入ったタスクもマネージャーが担当する。こういったタダの案内係ではなく、FPの資格をもちながらもフレンドリーに積極的に顧客と接する行員数名で小規模な店舗が増えているという。

日本のメガバンク、コスト削減のために今後数年内に支店の数を減らすと言っている中、逆の動きである。今まで支店があった地域に店舗がなくなれば、顧客は見捨てられたように感じるだろう。米国は無駄のない財務的に筋肉質な小規模店舗が増えるだけなので、ユーザーの満足度は増えれば増えるほど上がっていく。顧客本位の違いの現れだ。

ほかに東南アジアの国々の銀行は、もともとインフラがしっかりしてなかったので、まっさら状態からカエル飛びのごとく、IT化が進んで、顧客の利便性があがっている。

日本だけが古い遺産にしがみつかれているような状態だ。そのような中で著者は、こう提言している。

対面ビジネスの銀行業は、対面ビジネスの高さによって同業者はもとより、非対面のフィンテック・プレーヤーに打ち勝つしかない。デジタル化の技術を活用してコスト削減しつつ、最大の武器である顔が見える営業で質の高いサービスを提供してこそ、銀行なのである。

これは本当にそう思う。非対面チャンネル(Webやアプリ)を銀行が新たに拡充しても、ITスタートアップのようなUI/UXを作るのは難しいだろう。さらに支店削減していては、文字通りの二兎追うものは一兎をも得ずである。それよりかは店舗をうまく使ってオンライへ送客しても良いのかもしれない。

なににせよ、邦銀は前途多難である。少なくとも銀行の支店長になったら人生安泰といった時代ではなくなるだろうなと。

最後の方にJapan Digital Designにも、ちょっとだけども言及してあった。がんばっていき。