予想どおりに不合理

行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」

経済学は面白い。役に立つことすらある。しかし感動まですることは、本書に巡り会うまで滅多になかった。この感動を、ぜひあなたも味わってほしい。― 404 Blog Not Found:予想以上に合理的! - 書評 - 予想どおりに不合理

と、あるように本書は経済学の本なのだが、人間の不合理な判断をする心理面からのアプローチがおもしろい。またそのような人間の行動をマーケティングにも応用できないか書かれたWeb担記事も面白かった。

人間の理屈に合わない行動を証明するために著者はMITやスタンフォードでよく実験をする。よくもまぁこれだけの実験をするものだと思ったが、そのおかげでいろんな場面で人間の不合理な行動が確認される。冷静に考えれば、『ほんとそうだよなぁ』ってことが多い。

特に8章の扉をあけておくなんかの例は大学時代によく見かけた。自分の専攻は生活デザイン専攻というよくわかんない専攻だったのだが、要はプロダクト、建築、服飾のデザインが学べるところ。数人のクラスメイトはこの3つの単位全て履修していた(もちろん1つの分野だけ選んでも卒業できる)。

戦略の3Sから言えば、1つの分野を選択し、それに対してリソースを集中し、他者と差別化するのが得策なんだろうけどね。自分に関して言えば、プロダクトだけ取ってたけど、別にそこに全力を費やすこともなくウダウダして卒業してしまった。さらに今やってるのはWebデザインってゆう話。。。

あらゆる扉を開けておくのは安心感があるかもしれないが、扉をあけておくこと自体に力をそそいでしまって、自分が本当に成すべきゴールは忘れてはいけない。常にこの点を意識していないとまたすぐに扉を開けることに注力しがちだ。

その点は本書全体に関しても言えることで、著者もこう言っている。

この本で紹介した研究からひとつ重要な教訓を引き出すとしたら、わたしたちはみんな、自分がなんの力で動かされているかほとんどわかっていないゲームの駒である、ということだろう。わたしたちはたいてい、自分が舵を握っていて、自分がくだす決断も自分が進む人生の進路も、最終的に自分でコントロールしていると考える。しかし、悲しいかな、こう感じるのは現実というより願望 - 自分はどんな人間だと思いたいか - によるところが大きい ―P320 13章 ビールと無料のランチ

ゲームの駒というのはちょっとショッキングだが、要は駒であることを自覚しながらも、そうならないためにはどうすべきかと考えることにあると思う。自戒、自戒。