ハイ・コンセプト

「新しいこと」を考え出す人の時代

左脳主導型思考と右脳主導型思考のお話。これまでは左脳主導型(医者や弁護士などの論理的に考えられる人)が社会のメインストリームだったが、今後はそうでもないらしい。全くゼロになるわけではないが、いわゆるナレッジワークと呼ばれる仕事は、光ファイバーと高度な教育のおかげで、アメリカの裏側のインドでも時間的コストゼロでアメリカのそれと遜色ないものが金銭的コストも10分の1ででてきてしまう。

それを著者は、豊かさ、アジア、オートメーションという3つが要因だという。第1部は、前にも呼んだフラット化する世界とだいたい同じような内容。

そこで、反復、繰り返しの作業ではない創造的な仕事が求められている。いわゆるデザイナーや芸術家などのクリエイティブとよばれるもの。第2部では創造的で総合的な思考を司る右脳に着目し、右脳を刺激するような6つの感性の磨き方を提案している。

以下、2部の目次

  1. 「機能」だけではなく「デザイン」
  2. 「議論」よりは「物語」
  3. 「個別」よりも「全体の調和」
  4. 「論理」ではなく「共感」
  5. 「まじめ」だけでなく「遊び心」
  6. 「モノ」よりも「生きがい」

と右脳を刺激するために普通に考えたらどうななの?みたいな事例(3Mやゼッロクスのマネジメントはストーリーテリングを学んでいるとか次のMBAはMFA(美術学修士)だとか)を挙げていて、それがその後、成果が現れたのかどうか触れられていない点で、まだ手探りなんだろうなと思った。とはいえ、6つの感性のうち最初に挙げられているのがデザインで、デザイナーの自分としては嬉しかったので、印象に残った言葉を抜粋。

デザイナーのは未来の錬金術師だと思う ―アートセンター・カッレジ・オブ・デザイン学長 リチャード・コシャレック

( ゚∀゚)o彡°ハガレン!ハガレン!ハガレン!

優れたデザインとは、テクノロジー、認知科学、人間のニーズ、そして美を組み合わせ。今までそれがなかったことに世界の誰もが気づかなかったような物を無から生み出すルネッサンスにも似たものなのです。 ―MOMAキュレーター パオラ・アントネリ

「今までそれがなかったことに」ここ重要!

ビジネスに携わる人がデザイナーがデザイナーを理解する必要などはない。彼ら自身がデザイナーになる必要があるのだから。 ―ロットマン・マネジメント・スクール学長 ロジャー・マーティン

みんなデザイナーさ!

正しく利用すれば、デザインは生活の質を高め、仕事を創出し、人々を幸せにしてくれる。—それほど悪いもんじゃないだろう。 ―ファッションデザイナー ポールスミス

悪いもんじゃない!

というわけで、あくまでこのような感性は左脳主導型思考を身につけた人が次のステップアップのために身につけるべき感性なので、僕みたいな思いつき型デザイナーは左脳主導型思考を身につけない限り、21世紀は生き残れないよってことを自戒しとく。