幻想曲

孫正義とソフトバンクの過去・今・未来

ソフトバンクがUstreamに18億円出資して、なにかと話題の孫さんについて書かれた本。2005年の本だけど、なかなかおもしろかった。

本書を読むまでソフトバンクというとYahoo! Japanの親会社だということぐらいで、一体のなんの会社か知らなかったが「ソフトバンク」の文字通り、パソコンソフトの流通事業を手がける会社だったと分かった。「だった」というのは、その成長戦略からM&Aを繰り返し、ソフトバンク自体は投資銀行のような役割になっている。

選択眼のいいギャンブラー 元ソニー会長・出井伸之

読んだ後の感想は正直言って、やっていることは一時のホリエモンと変わらないんじゃないかと思った。というか、M&Aのはしりは孫さんの方だ。

金を儲ける最短距離を走っているのが孫さんだな 元日本マクドナルド社長・藤田田

と各財界人が称しているように、なんだかお金儲けのために会社を経営しているのかなと思ってしまった。その点に関しては、ソフトバンクはなんでもかんでも投資しているのではなくインターネットのインフラ事業に関して特に投資していると説明しているがやっぱり、投資に関するイメージが僕にとって良くないものなのかなと思ったり。

日本ではなんで車を作ってるとか、鉄を作っているとかいう会社が偉くて、投資をしているソフトバンクのような会社が一段低く見られる。なにか良からぬことでもしているように….

こうゆうのを読むと、自分がいかに日本的価値観で考えているか分かる。「投資」や「買収」に関してもうちょっと中立な眼を持ちたいとも感じた。とはいえ、孫さんの行動力にはやっぱりすごいものがあるのも事実。

何もしないことが本当のリスクなんだ

と言うように、常に攻め、成長路線を貫く。時には社内から性急すぎるのではと反対もくらうこともしばしば。

僕はいつか豆腐のような商売をしたいんですよ。豆腐は1丁(兆)、2丁(兆)と数えるでしょ。僕はいつかそういう単位でお金を動かせる商売をしたいんです

日本ソフトバンク草創期に3000万の資金を手配するのに困ってた時期に言っていた言葉。それから約28年後の2010年3月期第3四半期のソフトバンクグループの連結売上高は2兆453億円(有利子負債は1兆6,782億円:2009年12月末)とまさに有言実行

本書は、孫さん礼賛一辺倒の本ではなくダーティな部分について言及があるのでなかなか考えさせられるものがあった。