受け師の道 百折不撓の棋士・木村一基

最近、ABEMAで将棋チャンネルをよく見ている。藤井聡太王位・棋聖があまりにも強くて、異世界転生ラノベでよく見る俺つえーーー!!を現実世界で見せられているような感じで、最年少記録や連勝記録をどこまで更新できるのか見ていて面白い。

そうゆうわけでもっぱら見る将になってしまったが、将棋の戦法というより、どちらかというと解説・聞き手の日常の話が好きで聞いている。当たり前だが藤井二冠以外にも棋士には色んな人がいて面白い。その中でも解説名人と言われている木村一基九段の話は特に面白くて、本書を手にとった。

本書は2019年に最年長で王位タイトル獲得したを木村九段の話である。先述の通り、歯に衣着せぬ解説や指導でファンが多い木村九段が46歳にして念願のタイトル獲得で涙なしでは読めない。決して木村九段が弱いわけではない。羽生世代より少し若い程度なので、キャリア全盛期のほとんどが羽生永世七冠の無双時代とかぶっていることもあり、なかなかタイトルと縁がなかった。それでも挑戦権を獲得して挑戦するも、緊張・不眠のせいかタイトル戦で思うように実力を発揮できず、負けてしまうことも6度。

7度目の挑戦で、豊島名人(当時)から王位を奪取した。最近はコンピュータソフトによる研究が盛んなせいか、若手の台頭が目立つ中で木村九段も積極的に将棋ソフトを駆使し自己研鑽に努めている。百折不撓の意味通り、何回挫折してあきらめず今なお成長を続ける木村九段を知れば、応援せざるをえないと思う。

将棋をまったく知らない人でも楽しめるつくりとなっているが、やはり木村九段の将棋をさしているところを見てから読んだほうが100倍楽しめるだろう。

第3回AbemaTVトーナメントは、5分フィッシャールールという早指しなので、初心者でも見ていて面白いと思う。さらに将棋ではめずらしいチーム戦で、木村九段のチームが、本書にも出てくる行方尚史九段、野月浩貴八段の同い年トリオで非常に仲が良いおじさんチームとなっている。是非ともこちらを見てから本書を手に取るとよいだろう。

本書のあとの話になるが、最年長でタイトルで獲得した木村九段だが、翌年には最年少で棋聖タイトルを獲得し、その勢いのまま王位タイトルに挑戦した藤井二冠に王位の座を奪われてしまう(最年少二冠)。このへんもなんというか、ドラマだなぁと思うがまた木村九段にタイトルを取ってほしいものである。