12人で「銀行」をつくってみた

「いつでも、どこでも」、便利な日本初のネット銀行はこうしてできた

最近のFinTechは銀行業務(融資とか決済とか)をアンバンドリング(切り出し)して、サービスを成り立たせているが、この本の話は、銀行そのものをつくった話。ただの銀行ではなく、インターネット専業銀行である。

今でこそ、ネットを介していろいろなサービスを利用することは普通になってきてるが、本書の主役であるジャパンネット銀行が設立された2000年当初は、インターネットがようやく普及しはじめたという時代だ(17年前何してただろう..iモードとか?)。そのころから店舗を持たないインターネット専業の銀行を作ろうとしたのは、よほどの先見性やチャレンジ精神を併せ持っていたのだろうと感心する。

信頼の塊みたいな銀行を店舗をもたないでやることでどうやって信頼を担保するのか?と思いがちだが、結局は、実利は信頼に勝るということだと本書を読んで理解した。もちろん、セキュリティなど基本的な基盤は普通の銀行もネット銀行もちゃんとしなければいけないが、ジャパンネット銀行が普及したきっかけはヤフオクとの提携が大きかったと知って、いくら、これからはインターネットだとか、ネットだからいつでも利用可能とか抽象的な美辞麗句を述べても、ピンと来ないのだ。

それよりも、ジャパンネット銀行を使うとヤフオクの支払いがスムーズというファクトが大切だと理解した。結局、今の時代も仮想通貨という目に見えない通貨に対して、あれやこれや言われているが、決済手数料や送金手数料がほとんどかからないとかそうゆう実利が浸透していけば、おのずと普及していくんだろうなと思った。

あと、当時はネット銀行は普通の銀行に比べてシンプルで使いやすい、時代の最先端みたいな論調で書かれているけど、今現在みてみると、文字は多いし、なんか色々取り扱っている金融商品は多いし、全然シンプルじゃないよねと思った。FinTechのさきがけと言われるネット銀行だけど、時代はもっと便利でシンプルなのを求めているのかもしれない。