思考の整理学

外山 滋比古

『思考の整理学』と聞くと、なんだか難しいそうな感じがするが、すごく分かりやすかった。というのも、本書の構成が5〜6ページのエッセイを30本ぐらいまとまめたものなので、テンポ良く読める。しかも、20年前に書かれたとは思えないほど本書は読みやすい。

本当の頭のよい人が書く文章は分かりやすいというのはこういうことだと思った。まぁ、さすがに、思考の整理の仕方として、スクラッチブックのとり方や、カードノートのまとめ方など時代を感じるところもある。今の時代ならこれがEvernoteやTumblrになっているんだろうかと想像してみたり。

とはいえ、朝にアイデアが出やすいなどの例は何年経ってもかわらないことだと思うので皆も読んでみる良し!最後に印象に残った文を引用。

新しいことを考えるのに、すべて自分の頭から絞り出せると思ってはならない。無から有を生ずるような思考などめったにおこるものではない。すでに存在するものを結びつけることによって、新しいものが生まれる。―P57 触媒

忘れるのは価値観にもとづいて忘れる。おもしろいと思っていることは、些細なことでもめったに忘れない。価値観がしっかりしていないと、大切なものを忘れ、つまらないものを覚えていることになる。これについては、さらに考えなくてはならない。―P115 整理