強いチームはオフィスを捨てる

37シグナルズが考える「働き方革命」

皆さんご存知かもしれないが、弊社Kaizen Platform, Inc.は、現在、東京・サンフランシスコ両オフィス合わせると100人くらいの従業員がいる規模のフルリモートワークOKな会社だ。エンジニアだけでなく社員全員がリモートワーク可能だ。

転職する前から、このことは知っていたのだけど『リモートワークしたい』という気持ちはなかったので、特に気にしてはいなかったが、実際働いてみると思うところはいろいろある。そうゆうわけで弊社リモートワークガイドラインの推薦図書である上記の本を読んだ。

本書の言葉を借りて端的に言えば、こうゆうことだ。

アップデートが必要なのは、どうやら人の気持ちのようだ

リモートワーカーと働く

オフィス勤務で働き出して、一番最初に感じたのはハングアウトの多さだ。まぁ、リモートワーカーがいるので普通のMTGがハングアウトに置き換わるのは理解できるが、それ以外にもSyncという時間がある。これはメンターと新人がとりあえず30分くらいただダベってみるという時間だ。オフィスに皆がいて顔を合わせていれば必要ないかとも思うが、リモートワークが前提の会社だとそうはいかない。こういった時間を意識的に取る必要がある。ましてや僕のメンターは大阪にいる。まぁ基本的に無口なので慣れないうちは特に喋ることはなくて、やっぱ面倒くさいと思うわけです、この時間(喋ることがなければ早く終わってもいい)。

『なんで、こんな時間が必要なんだよ、俺はオフィス来てるのに・・・』って思ったことがある。決して、オフィスワーカー>リモートワーカーって関係でもないのに、なぜ僕自身そう思うのだろうと考えてみる必要があった。

オフィス勤務だって、大雨の日などは電車が止まって出社困難な状態になっても普段とは違った路線でなんとかして数時間遅れでオフィスに辿り着くってひどく非効率なことをしている。なにもリモートワークだけ効率が悪いわけではない。

やっぱり、人間の固定観念とは強いもので15世紀から始まった工場制手工業(マニュファクチュア)により、一か所に人を集めて生産を行うのが当たり前になってから、ずっとオフィスなり工場に集まるのがあまりにも『普通』なのだ。それゆえ、何か少しリモートワークでうまくいかないことがあるとすぐ思考停止状態に陥ってしまう。『ほら、やっぱりリモートワークはうまくいかない、オフィスで働けばいいんだ』と。もっと僕たちはニュートラルに物事をとらえなければならない。いったい産業革命から何年経っていると思っているんだ!

リモートワーカーになる可能性

先日、会社に片目だけコンタクトレンズを付けて出社するというアホなことをした。案の定、仕事にならないし、コンタクトつけて戻ってくるのもなぁと思い、家に帰って人生初めてのリモートワーク(在宅ワーク)をすることになった。

始めは『ひゃっほーい、自由だー!』と思ったのも、つかの間、実際はとても不安になった。いつもはうるさいと思えるオフィスの騒音も恋しくなるほど、ひとりぼっちとは孤独なものである。正直、これは自分には耐えられないと感じた。そうゆうのを体験してからはリモートワーカーの苦労も理解できるようになり、協力的になったと言える(別にそこまで非協力的ではなかったがw)。

ちょうど、YAPC 2015でCasey West氏の講演でもあったが、リモートワークを始めるには、まず全員それを体験することが必須だと本書にも書いてある。まさしく、ほんまそれ!といった感じである。

今、僕は独身貴族を謳歌しているが、これから家庭をもち子供を授かったりなんかしたら、やっぱり郊外の広い家に引っ越したりすることも考えられるし、そうしたら出勤時間とか長くなるし、しばらくは親の手を借りるために実家(石川県)に帰るかもしれない。そう考えると、やはりリモートワークというのはヒトゴトではないわけで、いかにリモートワーク・オフィスワークが共存してやっていけるのか考えるようになった。それからは週一でもいいから、家から意識的にリモートワークをすることで、リモートワーカーの気持ちになって何か不備がないか確かめるようにしている。

選択できる幸せ

問題はオフィスワークか?リモートワークか?という二者択一ではないということだ。それぞれにメリット・デメリットがある。人生のステージによっては東京に住んでバリバリ刺激を受けて自分の成長を重視するという考え方もよし、家庭を持って田舎で子育てに励むこともいいだろう。転職といったリスクを取らずに出来るこの選択が人生を豊かにさせるのである。

もっと気楽に考えてもいい。例えば、夏の季節はバンクーバーは最高に気持ちがいいから、夏はバンクーバーからリモートで働く。逆に冬は雨ばっかりになるので別の国にしよう。フィリピンのマニラはちょっと汚かったので、旅行でいったパラワンはすごく海がきれいだったから、冬はパラワンからリモートってな具合に、積極的にリモートワークを楽しめることができる。

こういったことは、なにも宝くじを当てて一発逆転を狙わなくてもどこにいても安定した収入が得ることができるリモートワークなら可能ということだ。37signalsのDHHもシカゴ・ロサンゼルス・スペインと点々としているらしい。なんと自由だろうか。

本書の著者2人が運営している37signalsがなぜ、リモートワークを認めてるのかというと、社員の幸せを最優先に考えているからだ。そうすることで優秀な人材は集まってくるし辞めない。そっちのほうがずっと経済的なんだろう。

GitHubも同じように考えている。

そうゆうわけで、リモートワークを実践している会社が書いた本で、こっちもリモートワークを実践している会社の人間が読んだ感想としては、納得感のある内容だったし、社内のアレはこうゆう理由かぁなど確認の意味で読んでよかった。書いてあるツールが若干古いが、そこはCasey West氏のスライドで補足すればいいだろう。