人を動かすスピーチの極意

Dale Breckenridge Carnegie

世の中にはプレゼンのコツとか上手な話し方のまとめがよくあるけれども、言っていることは「よく練習する」だとか「親身になって話す」とかだったりする。話す方も人間であれば聞く方も人間なので、当たり前と言えば当たり前なんだが、その中でもスピーチの本質に一番近いのがこの本じゃないかと思う。

「人を動かす」や「道は開ける」の著者であるデール・カーネギーが書いた本で、原著は1936年の出版。見本とすべきスピーカーの例にリンカーンが多用されているなど年代を感じさせるが、本書自体は2005年初版なので非常に読みやすい。翻訳によくある小難しい言い回しなど皆無でスルスルと読めた(訳者素敵!)。

この本でも、大切なのは「よく練習する」や「自分の言葉で話す」など言い尽くされた感があるが、「レーザーポインターの使い方」など小手先のテクニックが載っていない分、純度は高いかと思う。どちらかというとスピーチの本というよりコミュニケーションの本と言ってもいいくらい。

何のために人は人前で話すのかと言えば、たいてい何か行動してもらうために話すのものだと思う。政治家なら投票してもらうため、学校の先生ならもっと勉学に励んでもらうため、僕なんかだったらよりよいWebを作ってもらうためだろうか。つまり、美辞麗句を並べたててスマートに話したとしても聞いてる方が「あ〜話上手いね。おもしろかった。」で終わってはダメなんだと思う。「人を動かす」ことが大事なんだと思う。

その重要さに気づかされた点でこの本を読んで良かった。次はますます「人を動かす」が読みたくなった。