菱川勢一@ソフトパークふくい

映像クリエーターパワーアップセミナー

僕が読んでいるフィードは技術系ブログなどのWebに関するものがほとんどだったりするんだけど、その中でも唯一と言ってもいいくらいデザイン(映像)系のブログが菱川勢一さんのだ。映像系の人だからといって別にFinalCutの使い方がどうとかAfterEffectsの使い方がどうとかゆう話は全然でてこない。むしろ、なにが美しいのか、なにに感動したのか、なにを思ったのかみたいな日常的なことを書いている、そうまさに菱川勢一日記。読んでいて心地が良くて、かれこれ3、4年は購読している。

そんな憧れの人が福井に来るってもんだから、車はないけど電車とバス乗り継いで言ってきましたよ、ソフトパークふくい。金沢から片道2時間以上かかった><

セミナーは菱川さんが手がけた案件を解説していく流れだった。


自己紹介

朝市の飛行機で福井に来ました!
福井県立博物館行ってきましたw
おろしそばとソースカツ丼食べましたw
東京オリンピック招致のディレクションをやってる
同じメンバーの佐藤さん(?)の繋がりで今回喋ることになりました

Tokyo2016 Press Prezentation Design

東京オリンピッック招致のためプレゼンテーション映像
今年の10月にコペンハーゲンで最終プレゼン
東京の各施設をCGで紹介
東京がどんな街かを紹介(滝川クリステルさんや森理世さん)
肖像権の絡みで東京の町並みを撮るときにいる人は全部エキストラ
最大で300人のエキストラ使った
関連施設の映像とかDVDで800枚にも及んだ、チェック大変
スイスのローゼンヌの時のプレゼンでは前日に石原都知事にダメ出しをくらい現地で修正
試写会しても関係者が60人くらい集まる(各施設毎に担当がいる:武道館担当とか)
ステークホルダーが多く調整が大変

NO MORE HIBAKUSHA

日本語、英語に対応
すべての被爆の取材映像が見られる(8ヶ月かかった)
取材記事もすべて公開
NHKには独自の放送ルールがあり、このサイトはひっかかった
NHK広島局の方の熱意でメッセージ性のためにもサイトはルール適用外に

Softbank with TIFFANY Press Prezentation

Softbankが出した一台1000万円の携帯電話のプレゼンテーション映像
TIFFANYのブランドカラーTIFFANY BLUEに対してはすごく厳しい注文が
この手のカラーマネジメントはほんとに厳しい
印刷物で何万枚刷ろうが本店のクリエィティブディレクターがNOなら絶対にダメ(エコじゃないよねー)
Web・映像のカラーマネジメントは大変(デバイスに依存)
最終的にはクリエィティブディレクターの目視で調整(数値とか関係ないw)

Sony Vaio Design Concept Motion Image

A4のノートブックパソコン、カラーバリエーションがいくつか
↑これだけの情報で映像を作っての依頼がw
Fit Your Life / Color Your Life のキャッチコピーを無理矢理考える
撮影に入りたくてもモックアップすら完成していない
外国のイメージで撮ろうと思ってた(アルゼンチン・チェコ:ここらへんは費用が安い)
結局、出国準備してるときにもモックアップができなくて国内ロケ(静岡県掛川)に変更w
撮影で使ってるチャリンコは菱川さんのw

Map Style with Air Paradissimo TV Show

旅番組(ケーブルTV)のディレクション
予算が少なすぎるのでスチルカメラ(EOS)で撮った現地の写真の版権を頂いた
(レアケース)3TBの画像がきたw
48週ともすべてオリジナル曲を作曲した(コンポーザー涙目)
季節とか景勝地の映像は古くならない

Honda STREAM Promotion Design

V.I.開発(Product Brand)
HondaのLPL(Large Product Leader)の権限は社長よりも強い
担当した方は博多弁の怖い人
ActionScriptで書いたプログラムを持って行った
指でなぞって「風」を表現→気に入ってもらって映像も撮ることに
パリの高速道路を封鎖して撮影

ITOKI SPINA Promotion Design

グッドデザイン2008 金賞受賞!
本来のイトーキはコクヨみたいに普通の事務メーカー
ハーマンミラーのアーロンチェアに対抗する製品としてドイツでお洒落デビュー
サイトは英語・独語のみ →その後、逆輸入の形で日本デビュー
グッドデザインプレゼンテーションの時、他のノミネートに新幹線やジェット   今更カッコつけても仕方がないので演歌でプロモ映像作成(好評w)

好きな映画、VPは?

ベタベタだけど映画は2001年宇宙の旅が好き。懐中電灯とか使ってるのにもかかわらずスケール感がでかい淡々と宇宙ステーションがドッキングする様は渋い。

VPは20代の頃はつまらなく嫌だったが最近は進んで受けている。組織がまとまっていくなど役に立っている感が強い。イームズがIBMのために作ったPowers of Tenが好き。

編集環境はどんな感じでしょう?

FinalCut ProとAfterEffectsという普通の環境(iMac愛用)ただ、こだわるのはソフトウェアではなく撮影計画。コンテを描いているときは集中している、絶対に妥協しない(パリの高速道路を封鎖したり、1カット2カットのために空撮したり)あとはカラーマネジメントには時間をかける。

撮影の時に大事にしていることは?

現場の雰囲気(出演者を笑わせたりしている)
映像に対してはストイックだけどなごやかに撮っている

アイデアやひらめきを出すためのヒントは?

よく観察すること。構成力では大差がでない、クリエイターとしての見せ所は カットの入り方だったりティスト。よく観察・理解していないとおかしな表現になってしまう。

感想

基本的にプレスしか見られないようなプレゼンテーション映像の多くを紹介してもらったことや撮影時の裏話を聞けたことは大変貴重だった。TOKYOオリンピック招致の映像などナショナルクライアントの案件はその責任もさることながらステークホルダーの多さに同情。そう考えると自分がやっているWeb制作で社長などにやんや言われるのなんて全然易しいなと思ってしまったw

あと、菱川さんの人柄なども好きだけど、作っているの作品が無条件にカッコイイんですよね。ほんと世の中で一番カッコイイことを具現化したんじゃないのってゆう感覚をいつも受けてしまうんだけど、やっぱりそうゆうのを作るヒントは日々の観察からだったんですね。リアリティを表現するのにも必要だけど、「カッコイイ」ものを見たときの本質、コアな部分も観察し理解しているんだろうなと思った。う〜ん、ストイックになりましょう。