第43回 金沢サロン:ナガオカケンメイ

D&DEPARTMENT PROJECT

金沢サロンなるゆーものに行ってきた。金沢サロンとは、建築家でデザイナーの黒川雅之氏が毎回様々なゲストを招いて議論する会。会社の先輩から誘われて初めて行ったのだが、かなり充実した2時間だった。

今回のゲストはロングライフデザイナーのナガオカケンメイ氏で、お題目は『ずっと金沢にいたいと思うために、金沢がしないといけないデザインとは?』だった。

前半は自己紹介。若い頃はdrawing and manualという会社を立ち上げて、モーショングラフィックスデザインに凝ってた。アクシスで年4回アクシスギャラリーでモーショングラフィックス展をしていた。(そのときの空間デザインは暇してた吉岡徳仁)代表作にNTTコミュニケーションズなどコーポレートムービー(CMの最後に流れる2~3秒のあれ)などある。

最近は、「デザイナーがリサイクル屋をしたらどうなるだろうか?」というコンセプトで、D&DEPARTMENTというプロジェクトをしている。ちなみに家賃は以下の通り。

  • TOKYO 350万
  • OSAKA 170万
  • SAPPORO 40万
  • KAGAWA(現在準備中) 25万

  • G USED
  • SAMPLING FURNITURE
  • 60 VISON
  • NIPPON VISION
  • VISION’D VOICE
  • d long life design

などいろいろな活動を行っている。

デザイナーとして、いかにものを作らないで経済を成立させるか。つまり、ロングライフデザイン。使い続けて経済効果を作る。という考えを首尾一貫している、デザインしないデザイナー、ナガオカケンメイさん。

それで後半は質問を交えて、ずっと金沢にいたいと思うために、金沢がしないといけないデザインとは?について議論。デザイナー、デザイナーの卵が50~60人くらい集まって金沢らしいデザインって何だろう?と真剣に考えるあの場の雰囲気はとても心地よかった。

自分はWebデザイナーなので、今回の話をWebデザインに置き換えられないかとずっと考えていた。60VISONなどは60年代の製品のデザインの良さを再考しようというプロジェクトだ。つまり、今から30〜40年前だ。ウェブデザインという業界自体、できて10年くらいなので、良さを再考するにはまだ歴史が浅い。

事実、ユーザビリティやアクセシビリティなどもちゃんと決まっていない。しかし、デザインのトレンドはあるよね。水平分割、角丸、テカテカのグラデーションなどのWeb2.0風と呼ばれるもの。最近は飽食気味だが今から30~40年たったら、あの頃のデザインは良かったじゃないかと思うのだろうか。

その前にアップデートを繰り返すWebにおいて、数十年後にそのデザインに触れることができるのだろうかと疑問が残る。キャプチャ画像なら保存しておけないことはないが、ルックアンドフィールも感じられるために、サイト全体を丸々残すというのは手間のかかることだ。

大規模なサイトの場合、サイト全体が一気にリニューアルせず、サービスごとに徐々にリニュアールというか改修、補修などされているから、タイミングも難しいな。実際にモノに残せないということはつらい。

デジタルデータゆえにコピーは簡単だけど、50年100年スパンで残そうと思うと管理が大変。ブラウザ、OS、PCなどの再生環境も残さないとダメだし。Web協会なんかは過去もちゃんと記録するような活動したらいいんだよ、もっと。その協会に属する会社は新しくサイト作ったらデータまるごと提出するとかってちょっと思った。

あと、質問で金沢美大の生徒が課題で自由に制作しろ言われると困るといっていた。

制約があればあるほど、自分は生き生きと作れるし、楽しい。たぶん、60年代のプロダクトが魅力的に見えるのも、当時の技術の限界、素材の限界などがあり、その中で試行錯誤して作られたモノだからではないだろうか。

おお、なるほど!自分もコーディングが好きなのもなんやかんや言っても、おバカIEがいて、そのバグに対して最善の対処はどうすればいいだろうかとか、パフォーマンスやアクセシビリティとかも気にしながら作ってとかそうゆう作業嫌いじゃない。

ナガオカケンメイさんが自分のモノを購入するときのポイントとして、それを作っている人がどんだけ根性入れたかどうかで買うそうだ。今回の講義でナガオカさんはMac Book Airを使用していたのだけれども、スケジュール管理とメールぐらいしか使わないので薄くて軽いモノを購入したそうだ。薄くて軽いなのなら、ほかにもあったけど、結局はアップルのデザインに対する情熱が決め手だ。

で、これらを含めて金沢にいたい、また来たいと思わせるような金沢らしいて何だろうと考えると、結局なんでもいんじゃないかなと思った。例えば、今日から『携帯電話』が金沢らしいものですと決めちゃう。でも、そうなると金沢と携帯どう関係しているのかと非難囂々だろう。

かといって、金沢は金箔の生産がすごいから金箔が金沢らしいものですと決めると、僕にとっては生まれてから金沢にいるけど、金箔との思い出なんてこれっぽちもない。兼六園にいたっては去年初めて行った。

要はコレと決めて、それに対して金沢のみんながいかに協力してるか、誇りに思ってるかだと思う。誇りに思っている人が多ければ多い人ほど、それは他県の人から見たら魅力的・金沢らしさとゆうのにつながるんじゃないのかな。だから、お役所がこれが地元の名産品、歴史上の人物だからと言って、上から押しつけるような感じで歴史博物館とか作ってもだれも行かないという結果になる。

ナガオカさんが金沢21世紀美術館が金沢らしいのではと言ってたけど、それも現代アートってゆうわけのわからんものを展示するための建物を金沢のど真ん中につくるってゆうこと自体が関係各所の理解が得られないとできないことだし、もちろん最初から理解を得たことではないと思うし、いろいろお役所を駆け回ったのだろう。そうゆう根性みたいなのが見えるから金沢らしいと言ったのではないか。

じゃ、根性見せられたらなんでもいいのかとゆーとそうでもないよな。ナガオカさんがD&DEOARTMENTがヴィレッジヴァンガードとコラボレートするときにヴィレヴァからこれだけは守ってほしい2つのことで『書籍』と『それにつけるポップ、コメント』を挙げた。それさえ守れば、ヴィレヴァらしさというのが表現できると。それに影響されたのか、D&DEOARTMENTのフランチャイズの条件も3つあり、東京セレクション(ナガオカセレクション)の商品とカフェと、その地元セレクションの商品を置いてくれということらしい。

○○○らしい3つって決めるのはかなり難しいよね。それが金沢らしい、日本らしいってことになると。でも、大切なのはそうやって何にするかとか、どうするかとみんなで考え議論する姿勢だと思う。なんか効率的ではないし、簡単ではないけど、それだからこそ愛着もわくのだろう。だから、今回のサロンなどもとても意義のあるものだったと思う。