監獄ラッパー B.I.G. JOE

北海道のHIPHOPアーティストといえば、THA BLUE HERBが有名だが、もうひとつの雄がMic Jack Productionだろう。そのメンバーであるB.I.G. JOEのお話。

B.I.G. JOEに関しては、ILL-BOSSTINOと共演するMVを見たこともあったが、なんか刑務所にいた人がラップしてるんだなぁという印象しかなかった。

本書では、逮捕された経緯や6年間の監獄生活について記述されている。刑務所を舞台とした海外ドラマも多くある中、監獄生活に興味はあまりなかったが、見知った(?)人が罪を犯し、異国の刑務所に収監されていく内容には、さすがにハラハラしたし、とんでもないことをしてしまったB.I.G. JOEの後悔がヒシヒシと伝わってきた。

監獄に入ってからは、詩をためたり、体を鍛えたり、腐らず生活をしていたようで、その甲斐もあったのか、途中、音楽スタジオのある刑務所に異動するチャンスに恵まれ、監獄からアルバムをリリースするなどの離れ業をやってのける(スタジオがない刑務所のときは、国際電話でラップを歌った)。

オーストラリアでカタコトの英語しか喋れなくて刑務所に6年もブチ込まれていたら、さすがに絶望して自暴自棄になる可能性が多い中、刑期を終え、今も日本でラップ活動をしているB.I.G. JOEは、罪を犯したので尊敬しているとは素直には言えないが、それでも本書を通して、熱いメッセージは十分に伝わった。