ポール・ランドのデザイン思想

Thoughts on Design

たまにはデザインの本でも読んでみようかと思い購入。ポール・ランドというアメリカのグラフィックデザイナーの本。彼の有名な作品にはIBMのロゴやスティーブ・ジョブズが作ったNeXT Computer社のロゴなどが挙げられる。

本の構成は、シンボル、イマジネーション、ユーモア、フォトグラム(カメラを用いずに、印画紙の上に直接物を置いて感光させるなどの方法により制作された作品)、タイポグラフィなどをテーマにポールの考えとそれに関する彼の作品が掲載されている。ほぼ作品の写真が8割で、それもすべてモノクロであるのが少し残念。ページ数も100Pにも満たないからコンパクト。

デザイナーは通常、先入観を持って作業に取りかかることはない。むしろ、緻密な調査と観察の結果アイディアが生まれ、そのアイディアを元にデザインする。そのため、デザイナーが自分に課せられた命題に対する適切な答えを見つけるためには、どうしてもある種の思考プロセスを経なければならない。デザイナーは分析し、解釈して、考案する。デザイン業界、その関連業界における科学的・技術進歩を常に意識していなければならない。

少ないながらも、冒頭の『デザイナーの命題』の章にもあるように、背筋がシャンとさせられるようなことが書いてある。デザイナーなら一度は読んでみても良いかもしれない。デザイナー以外の人が読んだら、ただの割高な小冊子と感じると思う。